ミスター・エポックメーキングが社長についたら……

木村拓哉 歳時記 ＞ 木村拓哉と「リーダー」（後）

「Change」のストーリーを実現？

木村拓哉が、このままでは中居正広に代わってSMAPを牽引する……。

「東京スポーツ」（10年6月9日付）はそう書き立てた。

たしかに、画面やマスコミ報道に出てくる言動を見る限り、木村拓哉への「政権交代」が奇妙な指摘とはいいきれない出来事はある。

たとえば、木村拓哉が森且行を語ったことで話題になった、09年1月31日放映の「SmaSTATION!! presents SMAPがんばりまますっ!!」。

その放映終了後、木村拓哉のラジオ「What's up SMAP」（TOKYO FM）に、「中居くんが吾郎ちゃんを殴ったって話をしてましたが、（中略）キャプテンも中居くんと、舞台『ドラゴンクエスト』の時にホテルで殴り合いの大喧嘩をしたんですよね？」という質問が寄せられた。

内輪の話に踏み込むメッセージだったが、木村拓哉らしく「こちらはですね、事実です！ 」とアッサリ白状した。

こうした話ができるのは、表向きは「リーダーは中居正広だ」と認めているからであるが、少し見方を変えると、すでに「政権交代」の自信はあるから、タテマエとしてあえてそう認めてもいいという木村拓哉の余裕と解釈できなくもない。

人間というのは、必ず勝てるという保証のない同格のライバルはうっとおしく思い、格が違うと冷静かつ寛容に語れるということがある。

その森且行の件でも、「森と言えばG1制覇おめでとう！」 と、きっちり語ったのは中居正広ではなく木村拓哉であった。

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草なぎ剛がフルチン絶叫事件を起こした謹慎あけの『SMAP×SMAP』（６月１日）では、草なぎ剛が「この１か月、自分を見つめ直すことができまして……」というと、木村拓哉が「見つめ直してどうだった？」と突っ込み、稲垣吾郎が「こういうことになって逆にボクも気付かされることが多かったし」と言うと、今度は「オレたちは２度目だけどね」と、01年に稲垣が傷害罪で現行犯逮捕されたことを引き合いに…。

中居正広が「ちょっと！」と止めに入ったが、木村拓哉は、「こうなったときは包み隠すことはもうやめよう。それをやっていたら、オレらSMAP、この先ない。前に進むために言いたいことは言う」とグループの存続を考える立場からきっぱり言い放った。

中居正広は、草なぎ剛問題では発言が注目されたにもかかわらず公での発言を２週間沈黙し、その消極性が一部では批判された。

もちろん、見えるところだけが全てではない。どちらかというと、木村拓哉はあくまで番頭・師範代格で、中居正広は「君臨すれども統治せず」型のリーダーではないだろうか。

ただ、木村拓哉のジャニーズ事務所に対する影響力というのは、本人の意図や自覚にかかわらず侮れないこともたしかだ。

ジャニーズ現役タレントの薄給や結婚問題に風穴をあけたのは、まぎれもなく木村拓哉である。木村拓哉が契機となって事務所の方向性が改善された。

つまり、木村拓哉は、事務所にとってもタレント達にとってもミスター・エポックメーキングだ。

だから、もし生涯セールスのもっとも多いSMAPの中で「政権交代」が公然とすれば、将来はその上も見えてくるかもしれない。ズバリ、ジャニーズ事務所の後継者問題だ。

やれ東山紀之だの近藤真彦だのといわれているが、野心のない近藤真彦や、タレントに人望のない東山紀之を抜いて、一気に木村拓哉が有力候補に浮上したっておかしくはない。

木村拓哉自身、ラジオ「What's up SMAP」（10年６月４日）では、ジャニー喜多川を、現場を大事にして若手にも目を光らせ、それでいてユーモラスな社長であると尊敬の念をもって語っている。

それはまさに、木村拓哉の理想の社長像なのかもしれない。

ジャニーズ事務所の後継者は藤島ジュリー景子でほぼ決まったようだが、木村拓哉社長がどんな采配をふるうのか、見てみたい気もする。
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