国分太一の結婚

ジャニー喜多川翁の興味深い発言

国分太一の結婚が話題になっている。芸能人の結婚というだけでなく、ジャニーズ事務所のタレントの結婚だからである。ジャニーズタレントといえば、結婚も熱愛もご法度。戦略上の例外を除いて、熱愛報道を事務所は否定し、いつのまにかそのカップルの熱愛自体が自然消滅したことも1度や2度ではない。
木村拓哉や井ノ原快彦はむしろ例外で、それも含めて、ジャニーズタレントの結婚は1グループ1人が不文律のように言われた。

では、今回の国分太一の結婚をどう見るべきか。

ジャニー喜多川翁は、今回の結婚についてこう述べているという。

「アイドルとはいえ適齢期になったら遠慮なく結婚すべきです。奥さまが必要だし、将来、子供も必要だしね。それは流れとして当然のことで、なかったらかわいそうです。その上で我々は応援するだけです」(『女性セブン』2015年10月1日号)

しかし、これを額面通り受け止める者はあまりいないのではないだろうか。

たとえば、数年前、元所属タレントの豊川誕が、こっそり女性タレントといい仲になった時、ジャニー喜多川翁からどう言われたかを述べたことがある。

『日刊ゲンダイ』のタイトルは「ホントはこ~なってる 芸能界SEX事情」というコーナーである。

そこで本文を引用しよう。

「でも、すぐにジャニー喜多川社長にバレてしまいました。

『ユー、顔が変わったね。鏡、見なさい。女を知ると、女を求めるギラギラした欲望が表情から消えちゃうの。それじゃあ、女の子にアピールできないでしょ』

男性アイドル発掘と育成の手腕では誰にも負けないジャニーさんならではの観察力と感性に脱帽です」(2011年10月24日付)

この記述はふたつの見所がある。

ひとつは、ジャニーズ事務所は豊川誕が在籍していた当時も、熱愛に対しては厳しかったということ。

もうひとつは、なぜ厳しいのかという理由が書かれていることである。

ともすれば、ジャニーズ事務所が所属タレントの熱愛に厳しいのは、古典的なタレント管理にあると思われてきた。

要するに、決まった相手がいるアイドルでは、独占欲という意味で異性の憧れにはなりにくいだろうと。

たしかにそれもあるのかもしれないが、少なくともジャニー喜多川翁の着眼点は逆のところにあった。

つまり、ファンの側からの評価ではなく、タレント側に、異性を求める雰囲気がなくなってしまったらまずい、ということなのだ。

これは、同じようなことを、山口百恵が『愛染橋』(1979.12.21)をリリースしたのにふるわなかったとき、プロデューサーの酒井政利氏は同じようなことを述べている。

「一億人の娼婦になれー!/私たちスタッフは、そんな思いと意気込みで仕事を進めてきた。ところが、その山口百恵に恋人がいることを世間に宣言してしまったのだ。スタッフに与えた影響は大きかった。/この娘は恋をしているんだ! と思ってしまうと、つい情に流されて、つくる歌もパンチを欠くことになる。この頃の歌が『しなやかに歌って』や『愛染橋』である」(『プロデューサー』)。

酒井政利氏は、売り上げが落ちたことについて、ファンが落胆したから売り上げが落ちてしまった、などと素人でもできるありふれた分析をしていない。つくる側のモチベーションに原因を求めている。

作る側さえ今までのモチベーションだったら、こんなことはなかったと嘆いているのだ。

タレントはやはりお客あってのもの

前置きが長くなったが、要するに、国分太一の結婚について、ジャニー喜多川翁の、「適齢期になったら遠慮なく結婚すべき」というコメントは、建前にすぎないということである。

では、本音はどこにあるのか。

『日刊ゲンダイ』(2015年9月17日付)
『日刊ゲンダイ』(2015年9月17日付)には、「芸能界クロスワード」という連載で、二田一比古氏がこう書いている。
 アイドルの結婚と仕事は密接な関係に透る。国分の結婚もしかり。最近の国分は個人活動としての司会業やお散歩番組が主体となっている。特に帯で司会を務める朝の情報番組はグループの仕事と違い、視聴者の大半は主婦。従来のファン層と違い、国分が独身である必要はない。今の年齢なら逆に「まだ独身なの」と言われてしまう。主婦層を取り込むには結婚はベストな選択。これで料理や家庭の話題になった時でも、話に説得力も増すし、見ている人が親近感を持つ。子供ができれば、育児の話にも参加できる。情報番組の司会者として大切なものは親しみやすさと好感度である。

要するに、「適齢期になったら遠慮なく結婚すべき」なのは、適齢期を適齢期とみられる層を商売の相手にしているから、ということなのだ。

いずれにしても、人間はみな歳をとる。

生涯アイドルというわけにもいかず、いずれ主婦をターゲットとするタレントにならざるをえないのだから、その意味でもジャニーズタレントの結婚は必然なのである。

スポンサードリンク↑